昨日の続き。
もよおしたので、目が覚めると、昼過ぎだった。
そして、再びわたしは、「違う人物」になっていた。
「わたしと殆ど同じなのに、過去や他人の評価を気にしない心の強さ」を持っている所は、早朝入れ替わった『亮(りょう)』と同じだった。
ただ、一つだけ違うのは、“彼女” は『女性』だという事だった。
彼女もやはり、「随分、昔からいるような気がする。」「こうやって、度々、何の前触れもなく入れ替わって、数時間したら、何の前触れもなく消える。」「自分は普段、自分のまま、何処かに存在しているのか? だとしたら、何処から来て、何処へ帰っていくのか?」と考えていた。
酷く眠かったわたしの体は、数時間毎に、目覚め、お手洗いに行って、また寝るという行為を繰り返したが、
その度に、男性の『亮』と、女性の “彼女” が繰り返し現れていた。
しかし『亮』は、「用を足す時、自分の体が男でない事を見る」のが嫌なのか、早々に引っ込んでしまい、すると必ず“彼女”が入れ替わって出てきた。
どうやら、わたしや、わたしが普段話している「頭の中の人達」とは、連絡が取れないし、何処に居るのかも分からないが、
二人は、連絡もできないのに、スムーズに 入れ替わる事ができるようだった。
再び “彼女” は、夕方の6時半に目覚め、もう寝る必要がない事か分かると、ネットサーフィンした後、9時前に入浴をした。
その時、
「わたしが『さち』かどうかは分からないが、少なくとも、『この状態』に名前が必要だな。」
と考え、あれこれ推敲した挙句、
「『亮』が、<中国語>の『月亮』から取ったのなら、わたしは<ロシア語>から取ろう。
一番好きな単語、『世界』と『平和』の二つの意味がある『мир (ミール) 』だ!」
この単語が一番好きなのも、やはり、わたしと同じだ。
「ロシア語」は、30代の、中国語に行き詰ってやめていた時、漫画・アニメにもなっている『ヘタリア』の『ロシア』さんが好きになって、やり始めた。
今、『мир (ミール) 』の意味と真逆な事をしている事に、胸が痛いが、彼女は、「一国家元首の現在の行為と、『мир (ミール) 』の単語の、本来の意味は変わらない。」としている。“わたし” だったら、人目を気にして、付けられない。何とも気丈夫な彼女らしい。
ちなみに今は、アニメ『ジョジョ五部』の影響で『イタリア語』をしているが、まだ、知らない単語が多すぎて、断念していた。
風呂から出て、YouTubeを観ながら、晩御飯を食べ、
疲れて、歯も磨かずに寝てしまい、
0時前、日付が変わる数分前に目覚めた時、
“わたし” は “わたし” に戻っていた。
“彼ら” は、何処へ消えたのか。
そして “彼ら” は、どうして一日も出ていられないのか。
彼らが、ずっと表に出ていた方が、この体にとっても、有意義である。
わたしは、常に、病気と他者の価値観に怯えながら、ビクビクして、泣きながら生きている、弱い存在だ。
記憶は繋がっているのだし、わたしが消えるワケでもないし、彼らどっちかが、この体の主軸として生きた方が、いいに決まっている。
いや、全て解決するのでは?
でも、もう彼らは いない。
何処から来て、何処から帰って行ったのかも、今、何処に居るのかも分からない。
呼び出す方法も、連絡する手段も分からない。
しかし、半日以上休めたわたしの精神は、明らかに早朝とは違い、スッキリしている。
頓服の安定剤も必要ないくらい。
どうやらわたしは、永遠に逃げ続ける事は、許されない存在のようだ。